セツコのハンドバッグ

好きだったはずの人の葬式で持っていたハンドバッグ

実母の大事なハンドバッグ兼サンドバッグは一人娘の私。

幼くて可愛げがあった頃は着せ替え人形にされ、見目が冴えなくなったらとにかく1番になれ東大に入れなどと無茶なことを言い、同居している間は成績優秀・部活で活躍、成人して離れたら自分は良い親でしょ孫もいるのよと、自慢のハンドバッグのように各所でアピール。

でも実際彼女は彼女の人生を最優先していて、私は彼女のサンドバッグだった。小学生になったら学校に忘れ物をしたとか友達との会話がみっともないとか宿題が進まないとか何かにつけて力いっぱい脳しんとう起こす程引っぱたかれ、自分より娘に気をつかう人が多いことに気づくと嫉妬して日常的に粗探しや嫌味ばかり。家の中では酔っ払ってるか、イライラして嫌味言ってるか、何かにつけて怒って私を引っ叩いてるか、料理してるかの記憶しかない。脳しんとうを起こしすぎて忘れたのかもしれないけれど。

私は他のお家の事情はあまり知らなかったので自分がハンドバッグ兼サンドバッグにされているのに気がついたのは自分が結婚した後のこと。そして、それが彼女にとっては精一杯頑張ってくれたことなんだと思うようにしたのは最近のこと。

子どもをハンドバッグ兼サンドバッグにしかできないなら、私を産んで欲しくなかった。私は生きてるだけで精一杯で自分の人生を楽しむなんて発想すら許されていなかったしできなかったから、気付いたこれからはがんばろうと思ったところですでに疲れ果てていてそんな余裕はもはやない。大変良くない。

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